WEB2.0=チープ革命

私が思うにWEB2.0の本質は,ネットを介したパソコンの向こうにいる膨大な人間(含む時間)のリソースによるものだと思う。ムーアの法則に支えられるその恩恵を指してのみチープ革命と言われることが多いが,私はこの膨大な人間のリソースこそがWEB2.0の本質だと思う。

この本の中では,私のいう人的リソースによるチープ革命に関して勿論触れている。例えばウィキペディアを例にして,

ウィキペディアが目指すのは「そこそこ」の信頼性で「完璧」ではない。これからもずっと,「コストゼロ」で「そこそこ」の信頼性で進化し続ける百科事典(略)

梅田望夫ウェブ進化論(P193)

とある。この「そこそこ」のものでもある程度の数を揃えると大きな何かになるというのがWEB2.0の本質であると私は考えている。

で,この人的リソースによるチープ革命WEB2.0の全てを語れるのではないか。例えば,ロングテールもこの人的リソースによるチープ革命の産物だ。Blogのところでも触れられているが,母集団が増えればユニークな意見が出てくる。同じように母集団が増えるとニッチ商品を求める人が出てくる。こう考えるとロングテールを説明できる。また,外部APIに関してもそう。社内の限られたリソースでサービスを開発するよりもインターネット上の膨大な人的リソースに公開すれば,画期的な利用法を開発してくれるかもしれないというようにだ。最近,一部でネタになったソーシャルブックマークのタグ付けによる話もそこそこの品質に耐えられない人の話であり,全体から見るとちっぽけな話である。SBSユーザーの母数が増えるにしたがって,みんなの意見は案外正しくなるのではないのだろうか。

最後に付け加えておくと,人的リソースによるチープ革命は,元祖チープ革命と構造が同じことである。ムーアの法則に支えられている元祖チープ革命が安いサーバーをたくさん並べることによってそれなりの性能を果たしているように,人的リソースによるそれも個々の性能はそれほど高くないが,数をたくさん揃えることによってそれなりの性能を発揮している。ここでいう「それなり」とか「そこそこ」の性能は,それらの単語が与える印象よりもはるかに高いとだけ付け加えておく。